LD(学習障害)とは?
LDは、 Learning Disabilitiesの略 で、日本語では「学習障害」と訳されています。
知的な遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する、などの6つの基本的な学習能力のうち、1つか2つ以上の能力を習得するのが困難な状態をいいます。
乳幼児期は発達の遅れはあまり目立ちませんが、 小学校に入学し、様々なことをみんなと一緒に学ぶようになってから「計算はできるが、教科書が読めない」や「話すことはできるが、人の言うことが理解できない」という能力の凸凹が明らかになってきます。
私たちは、目や耳などから入った情報を、記憶にある知識と照らしあわせ、次に取るべき行動を判断し、 それにしたがって話したり、書いたり、 体を動かしたりします。 この情報処理の流れを「認知」といいます。
LDは、認知のどこかに不具合が生じていると考えられています。ある種の情報の処理はできても、 ある種の情報はなかなか処理できないというように、得意・不得意の凸凹がみられるのが特徴です。
学習障害(限局性学習症、LD)厚生労働省のサイトではこのように説明されています。
幼児期の気づきのポイント
LDの子の特性チェックリスト
幼児期
- ことばの言い間違えや聞き間違えがある
- ものの名前を覚えられずに「あれ」「それ」などと言う
- ことばの遅れがある(語彙が少ない)
- オウム返しばかりする
- しりとりができない
- 自分の名前を判読できない
- お手本を見て絵や図形が描けない
- 友だちに自分の思いをうまく伝えられない
発達障害のなかでは、学習面以外においては家庭や教室でも比較的問題行動が少なく、これまでは "勉強の苦手な子"と捉えられがちでした。
しかし、子ども自身は、知的な遅れがないのに自分の努力だけでは克服できない学習面の遅れに対して、どうして自分だけができないんだろう<という悩みや劣等感を抱えている場合がありま す。
学習のつまずきがあるにもかかわらず、適切な支援がうけられない場合、学習への苦手意識が強まり、勉強をしなくなることでさらなる学業困難に陥ることも少なくありません。
LD(学習障害)の子どもが抱えている悩みは、成長とともに大きくなっていくのです。
子どもがどんなに頑張っても獲得できない学習面のスキルは努力不足ではなく、このLD(学習障害)が関係しているかもしれません。
LDは就学前後や読み書きの発達から子どものサインを見つけることが重要とされています。
しかし、発達段階によっては同じ5歳でも個人差がみられることから、文字に興味を示さない子どももいるため、決めつけてしまわないように気をつけなくてはなりません。
実際には小学校で教科学習の文字を書く際に鏡文字になる、文章を読む際に行を読み飛ばす、などつまずきが目立つようになり、障害の発見につながることが多いようです。
LD(学習障害)の子の苦手なこと
●聞くことが苦手
聞いても内容を理解できない
聞いたことを記憶しておくことができない
人の話が聞けず、 自分のことばかり話す
●話すことが苦手
ことばがうまく出てこない
話題があちこちに飛んでしまう
一方的に自分の話したいことを しゃべる
●読むことが苦手
教科書を読むとき、 いつもつっかえる
文字や行を飛ばして 読む
文章の意味がわからない
●書くことが苦手
鏡文字を書く
黒板の文字を書き写せない
文字が乱暴で汚い
作文が書けない
●計算が苦手
暗算ができない
筆算が解けない
九九が覚えられない
●論することが苦手
文章問題ができない
図形問題がわからない
結果を予測したり、想像することができない
LDの場合、IQは正常で知的発達に問題はないのに、学習面、とくに国語や算数の成績が極端に悪いのが大きな特徴です。平均すると、その子の学年から2学年程度は下回っています。つまり、本来の能力と成績との間のギャップが大きいのです。
併存症・合併症のリスクが高い
発達凸凹児(発達障害、グレーゾーン)ーADHDの子の特性でもお伝えしたように、LD(学習障害)の子も同様に併存症や合併症のリスクがあります。
みんなと同じようにできないという劣等感や周囲の無理解から自暴自棄になったりする状態を二次的な障害といいます。
周囲が子どもの存在を認め、自尊感情を傷つけない配慮をすることで、二次的障害は防ぐことが可能です。
ADHDを併存しているLDの子は、とくに二次的な障害を抱えやすいといわれています。
キレやすく、反抗的・否定的な態度をとったり、人をいらだたせたり、失敗を人のせいにするなどの言動が目立つ場合は「反抗挑戦性障害」と診断されることがあります。
また、不安や不満、悩みなどがストレスとなって、頭痛、腹痛、吐き気などの症状が出る場合もあります。このようにストレスが原因で体に症状が現れるものを「心身症」といいます。
朝の登校時に体の不調を感じ、学校へ行きたくても行けないのですが、しかし昼ごろには症状が消え、ふつうに食事をしたり遊んだりできるため、家族には「ずる休み」と思われることも。
本人も明日はちゃんと学校へ行こうと思うのですが、翌朝になるとまた同じように症状が出て、次第に不登校となることもあるでしょう。
体の不調が続くときは、 早めに小児科を受診して、ほかの病気が隠れていないか調べてもらう必要があります。異常がなければ、なぜ症状が出るのか、どう対処すればよいかを医師に相談し、家庭でできるサポートを行っていきましょう。
家庭でできるサポートは?
家庭でできる5つのサポート!
家庭内のルールを作る
LDの子の30~50%はADHDを併存しているといわれています。そのため、行動や感情をコントロールすることが難しく、ルールを守ったり、我慢をすることが苦手な子も多いのです。
まずは、家庭の中で簡単な約束を守ることができるようにサポートしましょう。
LDの子は学びにくさをもっているため、わかりやすく繰り返し伝えることや簡単なことから始め、少しずつステップアップしていくことが大切です。細かく指図をしたり、厳しくしつけるのではなく、ひとつ身についたらしっかりとほめ、自信をつけさせましょう。
また、睡眠のリズムが不安定で熟睡できない子も多いため生活のリズムを整え、1日のスケジュール表を一緒に作るなどし見通しを立てて行動する意識付けをしていきましょう。
苦手な領域のサポートをする
LD(学習障害)の子は、学校生活の中で少しずつ「うまく読めない」「うまく書けない」などLDの特性が明らかになってきます。小学校低学年のころは子どもの苦手なことを家庭でフォローする意味で、親が子どもについて宿題などを見てあげるといいで しょう。
思ったように本人が理解できなくても、あわてず、あせらず、根気よくサポートしてあげましょう。
子どもが小学校中学年になったら、家庭学習は親がついてやらせるというスタイルから卒業した方がいいかもしれません。
子どもがうまくできない、なかなか覚えられないようなとき、親はどうしてもイライラして「どうしてこんなこともできないの?」 と感情的に叱ってしまう場面が多くなるからです。
基本的に学校以外での学習は、親がみるのではなく個別指導の塾や家庭教師など、第三者に任せるといいと思います。
自主性を育てる
発達に凸凹のある子の育児の中では、親は子ども の学習面もについつい口を出し、主導的にかかわってしまいがちです。
上記の苦手分野のサポートとの線引きが難しいですが、勉強のやり方や教材など何もかも親が決めてしまうと、子どもなりの工夫して学ぼうとする意欲が失われてしまう場合があります。
自主性や自発性は将来の自立にもつながるため、小さな頃から育んでいく必要があるのです。 それには、「自分で選択する」という体験を積ませることがもっとも有効です。
はじめは「どうしたい?どれがいい?」と多くの選択肢の中から子どもに選ばせるのではなく、2、3の選択肢の中から「どっちがいいかな?」と選ばせるようにします。 自分で考えて選び、決める経験を重ねるうちに、自分からなにをするかを考える習慣がつくようになります。自分のやり方がうまくいけば、自信にもつながります。
園や学校では指示が理解できずみんなと同じ行動ができなかったり、空気が読めずお友達のコミュニケーションに課題を抱えることが多い発達凸凹児。
そのため、親は他の子と同じように生活できるようにと、ルールを守ることや我慢することばかりを求めがちです。
社会的なルールや必要な我慢を身につけることはもちろん必要ですが、これからの時代は「みんなと同じことができる」だけでは、AIにとって代わられます。
凸凹児だからこその突拍子もないひらめきやアイデアを活かしていくためにも自主性は大事にしていきましょう。
ちなみにゆうママはこの歌が好きです。
凸凹児をすべて似たような形に整えるのではなく、大器晩成として時を来るのを待ちましょう!
かつて天才だった俺たちへ
神童だった貴方へ
似たような形に整えられて
見る影も無いいまだかつて
ないほど入り組んだway
悩めるだけ悩め
時が来たらかませ
風まかせ
どっちみちいばらのway
俺らは大器晩成
時が来たらかませ
Creepy Nuts かつて天才だった俺たちへ
整理整頓を習慣づける
整理整頓はLDの子に限らず、発達に凸凹のある子どもへのサポートとして共通しているもののひとつです。
視覚情報や聴覚情報を処理するのが苦手な子が多く、入ってくる情報が多すぎると混乱して、今やるべきことに集中できません。
片づけることを習慣化するためには以下のような工夫をすることも大切です。
・片づける場所を決める
・しまう場所をあまり細分化しない
・最初は一緒に片づけ見本をみせる
・少しずつ片づけることで負担を軽くする
得意なことを見つけ強みを活かす
発達に凸凹のあるお子さんの中には「電車博士」「昆虫博士」「恐竜博士」など、関心のある特定のことに強いこだわりもち、抜きんでた能力を発揮する子がたくさんいます。(ゆうくんの場合は電車でした。幼稚園の先生に今日は何線で来た?何線には乗ったことがある?と毎日しつこく聞いていました・・。)
親としては、苦手な”凹の部分”にばかり目が行き、できないことを重点的にやらせようとしてしまいがちですが、子どもにとってはそれは苦痛でしかありません。
特定なものにこだわりがある場合も、まだ関心があるものが見つかっていないお子さんの場合も、まずは本棚いっぱいに興味のありそうな本を並べてあげましょう。近くに図書館があるのならそこから借りてくるのもいいと思います。
興味があるものであれば、持ち前の集中力で時間を忘れて読みふける子も少なくないと思います。
そしてその本棚に、親が興味を持ってくれると嬉しいなと思うものも一緒に並べておくのがポイントです。
例えば、世界の偉人の伝記や(マンガでもかまいません)、昔話や図鑑など、そこから新しい興味が広がることもあります。
並べたままにしておくだけでは子どもが手に取る確率は低いです。ぜひ、好きな本を読んでいる子どもの横で、親も”子どもに手に取ってほしい本”をおもしろがって読んで見てください。子どももその本が気になり始めます
「読んでみなさい!」と10回声をかけるよりも、”読みたくなる環境づくり”が大切なのです。
外では問題児のようにあつかわれる事がある子どもの、好きなこと、興味関心があることに気が付き、伸ばしてあげられるのは一番身近にいる親でしょう。
ぜひ、子どもに合った習い事をみつけ強みをのばしていってあげましょう!