発達凸凹(障害)とは?

発達凸凹児(発達障害)ADHDの子の特性と家庭でできるサポートについて

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは

「ADHD」は日本語で「注意欠陥多動性障害 (注意欠如多動症)」と訳され、不注意、多動性、衝動性 の3つの特性があります。

注意力が弱く落ち着きがない特性から、生活の中で様々な不適応を起こしやすく、周囲から誤解を受けやすい障害といえます。

どの特性が目立つかは子どもによって異なるため、 同じADHDとは思えないような場合もあり、とくに衝動性が目立つ子どもの場合、問題児扱いされてしまうことがあります。

ADHDの原因は詳細にはわかっていませんが、 脳機能の一部が他の子どもたち とは異なる働き方をしていることが明らかになっています。

発達凸凹児見上げる

そのひとつとして、脳の前頭前野 の血流量が少なく、前頭前野がうまく機能しないことにより、 集中力の維持、感情の抑制、 行動の計画、 思慮深さ、ワーキングメモリー (学習や認知などの情報を処理するために、 一時的に保持される 記憶のこと) などに弱さがみられます。

また脳の神経伝達物質の働きの弱さもかかわっていると考えられています。
ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が有効に作用しないと、 注意力を低下させたり、作業の遂行を妨げたり、記憶力を低下させたりしてしまうのです。

ADHD(注意欠如・多動症)厚生労働省のHPではこのように説明されています。

併存症・合併症のリスクが高い

ADHD の子どものうち、7割以上の子どもがなんらかの障害を併存または合併していることが調査からわかっています。

併存症とはもともとの障害の原因となんらかの関連があり、その障害と一緒に現れる障害をいい、合併症(二次障害)とはもともとの障害からくる症状・特性によって、 あとから発症する障害のことをいいます。

ADHDの併存症には、 自閉症スペクトラム障害や学習障害、てんかん チック障害、強迫性障害などがあります。

合併症(二次障害)はADHD特有の行動特性が原因で生活上の困難にたびたび遭遇し、劣等感をもったり、 対人関係がうまくいかず、精神的な問題を抱えるようになり、合併症を発症することも多いです。

代表的な合併症は、反抗挑戦性障害、行為障害 (素行障害)、不安障害、うつ病 などです。

反抗挑戦性障害

周囲がADHDについて正しく理解していないために、叱責や非難をくり返すことで、子どもは自己肯定感や自尊感情を保てず自らを否定的にとらえるようになり反抗心や強い怒りをぶつけます。 通常は9歳ごろまでに発症し、 小学校高 学年~中学生初期に最も顕著に現れます。

行為障害

反抗挑戦性障害がさらにエスカレートし た状態で、 他人への暴力、 強盗やひったくりなどといった法に触れる行為に至る場合もあります。 一般的には、 小学校高学年~高校生初期に目立つ障害です。

不安障害

ADHDの行動特性によって、 劣等感を もったり、 対人関係がうまくいかなくなっ たりしているうちに、過度なストレスから 精神的に不安定になり、 不眠や食欲不振、 体調不良などを起こし、 日常生活がうまく 送れなくなる障害です。

突然強い恐怖心に襲われ、動悸や息苦しさが生じるパニック発作や、 特定の状況で 強い恐怖感を覚える恐怖症、漠然とした不安を抱える全般性不安障害などがあります。

うつ病

ADHDによる生活上の困難、 精神的なストレスから、うつ病に至るケースも少なくありません。うつ病は気分の落ち込み、 意欲や興味の減退、思考力の低下、不眠や食欲減退、体重減少などが起きる病気です。 自殺企図 (自殺を企てること) を起こしやすく、 自殺リスクが高いことも知られています。

アメリカでの調査では、 ADHDのある人がうつ病を合併する割合が子どもで 15 ~38%、 大人では25~53% と高いことがわかっています。

合併症(二次障害)を防ぐために

ADHDのある子どもは、成功体験に乏しく、達成感や充足感を味わう機会が少ないうえに、 叱責や非難を受けやすく、いじめの対象になりやすいことがわかっています。人から虐げられる経験が積み重なることで心がゆがみ、 心の病を合併してしまいやすくなるのです。

そうならないよう、 身近な人たちが温かなまなざしで見守り、早期理解と早期対応により合併症(二次障害)を防ぐことが大切といえます。

野原で遊ぶ凸凹児

乳幼児期の気づきのポイント

 

ADHDの子の特性チェックリスト

乳児期

  • だっこされることを嫌がる
  • 寝付きが悪い
  • 夜泣きが多い

幼児期

  • 落ち着きがなくじっとしていられない
  • 順番やルールを守れない
  • 我慢ができない
  • 友達に乱暴し、ケンカが増える

多動性は2歳ごろから目立つようにあり、不注意による生活上の困り感が明らかになるのは小学生になってからが多いです。

また年齢や環境の変化によって気になる行動も変わってきます。

「ADHD」かもしれないと思った時には自治体の発達相談の窓口で相談をすることをおすすめします。

医療機関の受診や療育の必要性などについてもアドバイスがもらえると思います。

家庭でできるサポートは?

集中しやすい生活環境づくり

ADHDの子は実行機能がうまく働かない障害といわれています。

ひとつの物事を達成するために必要な、記憶力や我慢する力、集中力、見通しを立てる力などが弱く、状況に応じた行動がうまくとれません。

本人の心がけや意志の強さとは関係がないのです。

ADHDの原因となっている脳の働きそのものを根本的に治療することはできませんが、環境を整えることで課題や作業の到達点を高めたり、不適切な行動が起こしにくくすることが出来ます。

集中力を高めるためには、机の上には必要なもの以外置かない、壁にポスターやカレンダーなどを貼らないなど、気が散ったり刺激になるものを少なくすると良いでしょう。

そのためには整理整頓の習慣をつけることも大切です。

発達凸凹児は「片づけをしなさい」と言われても片づけや整理の仕方がわからない子も多いため、整理整頓の仕方にもサポートが必要です。

・棚やタンスなどにしまう物を絵や文字で示したマークをつけ、どこに何をしまうのかわかりやすくする。

・分類はあまり細かくせず、本人が簡単にできる程度にする。

・整理整頓された状態を写真にとり、片づけされた状態がイメージできるようにする。

・定期的に片づけを行う。

・整理整頓出来たら気持ち良いことを共有し褒める。

小さい頃から少しずつ片づけの習慣をつけると、小学生になってから学校の机の中がぐちゃぐちゃ、忘れ物ばかりするといった、ADHDの子に多い特性に対する対策にもつながると思います。
ゆうくんは毎日寝る前に片づけをするルールになっていますが、だんだんと散らかっていってしまいます。なので土曜日はパパと一緒にお片づけをする日と決めて整理整頓をするようにしています。

指示は一度にひとつだけ出す

ADHDの子が指示に従わないケースには、指示がきちんと理解できていないことや理解はしているけれどそれを行動に移せないことなどが考えられます。
そのような時には原因に合わせて対応を行いましょう。

複数の指示がふくまれている場合 ⇒ 指示は一度にひとつだけ出す

口頭での指示が理解しにくい場合 ⇒ 指示内容を理解したか確認する。文字や絵で示す

従いたくない気持ちがある場合 ⇒ いったんその場を離れて気持ちを切り替えさせる

指示に従えない時には叱るのではなく、従えない原因を確かめたうえでどうしたら指示を守れるかを一緒に考え、約束をさせるとよいでしょう。また指示に従えた時にはわかりやすく褒めましょう。

お手伝いをする機会をあたえる

子どもの年齢やスキルレベルに合ったお手伝いをすることで、役割を担い、それを果たしていくことが自信になるとともに、生活スキルの向上にもつながります。また、自信をつけ、社会性を育むうえでも大きなメリットがあります。

お手伝いは、 子どもの年齢やスキルに合ったものを本人と相談して決めます。洗たく物をたたむことや部屋のゴミをまとめることなど気軽に毎日続けられるものが良いでしょう。

失敗してもせめずにお手伝いをやり終えたあとには、必ず 「ありがとう」と感謝のことばを伝えることが大切です。

発達に凸凹のある子は叱られることが多く、ほめられる機会が少ない傾向にあります。お手伝いをして人から感謝される経験を積むことが、 自尊感情を育み、自信をつけることにつながるのです。そのため家族がそのつど、子どもに対して感謝をことばできちんと表し、ほめることが重要といえます。
ちなみにわが家では玄関の掃き掃除と朝新聞をリビングに持ってくることは、ゆうくんの仕事です。1週間お手伝いをしっかりとできた時はお菓子をひとつ買ってもらえるルールとなっています。(※お菓子を選ぶ時の注意点はコチラ)

OKレベルを下げる

高いパフォーマンスを求めずに、OKレベルを下げることも大切です。

親は普通「子どもはこう育つだろう」と見通しを立てて子育てをしています。しかし発達に凸凹のある子の育ち方は独特なため、親は育てにくい、うまくいかないと感じることがあります。

親が見通しを変えず、うまくいくまで子どもに無理に言い聞かせようとすると、親も子も共に苦労することになりかねません。

親がその子に合わせて、できないことはサポートしながらOKレベルをさげ、子どもの得意なことを伸ばすような子育てに発想の転換をしていくことが必要でしょう。

 

居場所を増やす

ADHDなどの発達に凸凹がある子どもの場合、お友達との関係がこじれたり、集団から孤立するなど、『居場所』 がないと感じてしまうこともあります。 そのため子どもがが安心して過ごせる場所を確保することが大事です。 複数の『居場所』をもつことで、うまくいかない時があっても、逃げ場を見つけることができます。

習い事などの『居場所』は学校生活でつまずいた場合でも、本人の心の支えとなります。 子どもが自分の能力を発揮できる場所、思い切り取り組める活動を見つけ、そこで輝 けるようにサポートすることが大切です。

同様に親にとっても居場所づくりは大切だと思います。

私はゆうくんの子育ての中で幼稚園や学校以外の同じ発達凸凹児を育てるママや習い事のママ友にとても支えられました。
親も子どもも認められる場や息抜きができる場が必要なのは一緒ですね。

発達凸凹児に向いている習い事

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